残念ながら毎年夏になれば水難のニュースを目に耳にすることが多くなります。
管理されている場所やプログラム。あるいはごく普通の海水浴や川辺の水遊び。
よくあるのは「誰の責任である」とか「もっとちゃんと考えろ」的な、どうも言外に攻撃性が感じられる意見やコメントが多くついているようなSNS。
もちろん、管理者がいて管理責任が問われるべき事案もあるわけですが、個人や仲間で遊びにいって水難事故に遭遇してしまう場合も、またすくなからず

その1
これは必ずしも責められるばかりではないと思うのです。
家族そろってたまに遊びに行く。そんな時にはどうやっても遊びスイッチが入っていて、堅苦しい安全対策とかには及ばないのも、理解できる部分であります。報道で語られる限られたごく一部の情報と結果だけをみて責めることは問題ありだと考えます。
人を責めることにより自分の立ち位置を正当化するあるいは正当性を強化するということは、一時的には正義の味方な気分が味わえるわけですが、それは図らずも「自分は同じ事故にあうわけがない。」いわゆる「正常化バイアス」がかかった状態とも言えます。
これはまさに事故を客観的に分析し、安全対策を検討する状況を放棄していることにもなります。

自分が事故者であったとして、その結果になる可能性ををたどってどこに落ち度があったのかをしっかりと想像することが重要かと思うのです。

今回の3歳児の事故については、まず実際の状況をもう少し冷静に考慮する必要があります。

http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2314027
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/140816/evt14081608350005-n1.html

まずは報道されている事実
*子供が6名ゴムボートに乗っていた
*保護者(?)が周囲に存在しこのゴムボートを引っ張って泳いでいた
*一人落水したことに気付くことができなかった。

想定される構図
*監督される子供たちと監督すべき大人であったのか
*全員が遊びとして行動していた可能性はないのか
*遊び自体が盛り上がって高揚していた可能性。

低学年くらいまでの子供たちは、心を許した大人から「高い高い」だったり、振り回されたりという、少し危なげな扱われ方が大好きです。そして子供たちを喜ばせたいと思うのは、保護者や近しい大人としては至極当然の心理です。となると、ゴムボートを揺らしたり、ちょっと派手に水をかけたりして、相当高揚感が高まるようなおふざけをしていたのであれば、あるいは子どもたちを楽しませることに周囲の大人が注力していたのであれば、相当その場が騒がしかったことが想像されます。大人子供あわせて8~10人程度もいれば、そのにぎやかさは相当なものだったでしょう。そのような状況の中であれば、周囲の大人たちが子供が一人いなくなっていたことに気付かなかったというのも状況としては理解(容認ではありません)できるものです。
ゴムボートに子供たちを乗せてただ静かに引っ張っていたと考えるには、結果から推し量ると少々無理があるように思えます。

ゴムボートというのは、なにも無い状況(ただ泳いでいる状態、あるいはライフジャケットなどを付けていても本人が入水している状態)と比較した場合。たとえそれがいわゆるオモチャレベルのボートであっても、相対的に安全な状態であると判断されることと思います。
道具への過信といえばそうですが、完全に誤りかというと決してそうとも言い切れません。海でのレジャーを生業とする僕らですら、手ぶらで海に入るよりはおもちゃの浮き輪を持っていくほうがはるかに安全であろうと評価します。
(+より安全な大型浮力体の準備 -浮力体としてのゴムボートがあることによる油断)

まさか落ちるまい。
まさかおぼれまい。
たとえここまで考えていたとしても、子供がいなくなるというのはなかなか想像できない状況のはずです。

たまたま落水した。
たまたまおぼれているのが分かりにくかった。(静かなパニック)
たまたまみんなで騒いでいるタイミング落水、溺水に気付けなかった。

このゴムボートというのもどのようなものかはわかりませんが、ホームセンターで数千円程度で売っている小さいものであれば(大人がひっぱれる程度の大きさであることからその可能性が高いと思われます)6人も載せれば水面の低い視点からボート上の全員を一度に視認できないのではないでしょうか?
ボート上に2列に整列していたとしてもこちら側から3名、反対側から3名見えれば上等。並ばずごちゃごちゃに乗っていればさらにボート上の人員全員を確認することはむつかしくなるはずです(年齢からするとその可能性のほうが高いと想像します)。
おそらく周囲の大人は「自分の見える範囲の子供たちを見る」ことはできても見えない側に想像を膨らますことができなかったのかもしれません。

そのバランスもけっこう悪いものです。3歳児ともなれば、この浮力体につかまって振り落とされないということもむつかしいと思います。

この場にいた大人たちを責められるのは、善意(?)の第三者などではなく、その結果と事実のみであるべきだと思いますし、それで十分すぎるほどだと思います。