「安全」 「安心」

最近あちこちでよく耳にします。

よく似た使い方というか、最近はほぼ、イメージ的に混同されていることも多いようです。

「安全」と「安心」は近い場所にありその関係性も深いですが、意味合いとしては大きく異なります。

「安心」は心理現象であり、主観です
「安全」は様々な基準があり、客観です

安心という言葉をちょっと調べてみましょう。

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安心(あんしん)とは気掛かりな事が無く、心が落ち着き安んじることである。

(Wikipedia)
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やはり心理現象のようです。
心理現象(感情)は、論理的、物理的な裏付けを必要としないので、第三者には正確な把握やコントロールができないことも多々あります。

例えば、一個人の「怖い」という感情は、他人にはその度合いや影響が理解されにくいものです。
絶叫マシンが大変に苦手な僕の気持ちは、絶叫マシン大好きな友人たちにはなかなか理解はしてもらえないようなのですが(笑)、これは、まさに心理的な現象が他人に理解してもらえない一例でしょう。

(※個人にとっての安全とは、相対的に変化していくものなので、絶対的な指標や基準はありません。ですので、以下の表や用例の中での整合性に欠ける、あるいは的確ではない部分もありますが、イメージのしやすさ、実際にありそうなものを優先してますのでそのあたりはご容赦ください。安全については、当サイトのコンセプトの根幹の部分であります。別項でも複数取り上げますのでそちらもご参照ください)

安全と安心によって発生する状況は、大きく分けると4つの領域に分類できます。

1.安全かつ安心な状態
(安心かつ安全な状態)
2.安全だが安心できない(不安な)状態
(安心できない(不安だ)が安全な状態)
3.安全ではないが安心な状態
(安心だが安全ではない状態)
4.安全でなく安心できない(不安な)状態
(安心できない(不安)かつ安全ではない状態)

「1.安全かつ安心な状態」というのは、外遊び(野外活動)において理想的な状態ですが、実際には100%のこの状態は、現実的にはあり得ないものです。
もちろん様々な準備や努力をもってこの状態に近づけることは可能ですから、プログラムの運営などにおいては目標とするべき状況であります。

「2.安全だが安心できない状態」とは、例えば、厳密に安全管理されたプログラムではあるものの、どうしても不安であるという状況です。絶叫マシン(ジェットコースターやバンジージャンプ)のようなものを想像してもらえると良いでしょうか。あるいは生活に密着している自動車などと比べはるかに事故率の低い乗り物である飛行機ですが、乗るとなると、自動車よりも緊張するというのは、確率的な安全が理解できてもなんとなく不安がぬぐえない(安心できない)という好例です。

「3.安全ではないが安心な状態」はどうでしょう。
実は一番危ない状態が潜在するとも言えます。要は安全な状態がきちんと理解できていない状態ということです。例えば飲酒をしての海水浴などはまさにこの典型です。(飲酒によって判断力が低下しているということもありますが・・・。)
ほかにも、自身で安全な状況を検証していないのに「安全だよと誰かが言っていた」というような不確かな伝聞状況、または「周囲の大勢がやっているから自分も大丈夫」という心理を根拠にした行動もこれにあたります。
安全への理解や努力を、すべて他者に依存している場合もこの状況が発生しやすく、野外活動プログラムとして提供されるものにも散見されます。

「4.安全でなく安心できない状態」という状況ですが、この場合は、あえて参加するということが考えにくいので、あまり考慮することも必要性も感じません。ここに該当するものをやろうというのは、残念ながらほぼ暴挙と呼ばれるようなことではないでしょうか?(あくまでも野外でのレジャーの範疇で考察しています)
ただし、冒険、あるいは特定の目的や研究などのための途中行程では、このような状態もありえるかとは思います。

※実際にには4領域それぞれの内容はもっと広範にわたるのですが、ここでは野外活動に関わりそうなかたちで提示します。

いずれの場合においても、落ち着いて考えてみれば、安全の内容がしっかり検証できなければ、よりよい安全を享受することができないということが理解できるはずなのですが、なかなかそう理屈通りいかないのが興味深くも恐ろしいところです。

この安全と安心を混同してしまうと、言葉に惑わされ必要な準備や行動を見落としたり、あるいは安全でない状況に飛び込んでしまう可能性もあります。この違いや状況を理解し、必要以上に言葉に惑わされずしっかりと行動したいものです。

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